Photoshopは、プロ仕様の高機能画像編集ソフトですが、簡単な操作さえ覚えてしまえば素人でも簡単に画像編集ができます。
また、解像度について知識を深めるとより高度な操作が可能となるでしょう。
そこで本記事ではPhotoshopで解像度を上げる方法について詳しくレクチャーし、他の使える画像編集ソフトについて解説します。
解像度の基本:dpiとppiの違い・画像サイズとの関係
1. 解像度とは(dpiとppiの違い)
解像度の基本を知るために、予備知識としてppi / dpiとは何かについて見ていきましょう。
まず、ppi / dpiはどちらも解像度を表す単位を意味しますが以下のような違いがあります。
ppi(ピクセル パー インチ) | 1インチあたりのピクセル数 |
dpi(ドット パー インチ) | 1インチあたりのドット数 |
ここで、重要になるのはp(ピクセル)iとd(ドット)の意味合いです。
ピクセルとは、色の表現が可能な素子の最小単位になり、1インチ(2.54cm)の一辺に6つのppiが並んでいます。
一方、ドットは、パソコンやスマホなどの画面上に表示される画像に使われる解像度の単位で、色の表現ができる素子の最小単位です。
特に、印刷解像度では1インチあたりに配置できるインクの点(ドット)の数を指します。
明確なサイズと密度の概念が存在し、単なる「点」ではなく、dpi(dots per inch)として解像度を表す際の重要な単位です。
つまり、1インチ中にたくさんのppiやdpiが並べば、細かい色や線描の表現ができるようになり、この状態を解像度が高いといいます。
2. 解像度と画像サイズの関係(ピクセル数との関係)
画像サイズと解像度には以下のような関係があります。
- 画像サイズ(インチ)を固定した状態でピクセルの数を増やすと解像度は高くなります
- 画像サイズを大きくしてピクセル数がそのままの場合は解像度が低くなります
そもそも解像度とは、画像1インチあたりの画素数を示して鮮明さを言い表した数値です。
ピクセルには明確な単位の大きさが決まっておらず、
大きさは解像度次第で決まります。
画像サイズと比例してピクセル数が増えるといった関係性にはありません。
3.解像度が低い場合の問題点(印刷・Web・SNSごと)
解像度が低くなってしまうと以下のような問題が出てくるでしょう。
- 印刷:線がギザギザになる、文字がぼやける、細かい部分が潰れる
- Web:表示速度が遅くなる、画像の荒さだ目立つ、
そもそも、印刷とWebでは解像度が全く異なるため、Webで使っていた画像を印刷すると画質が悪くなります。
逆に、綺麗に印刷できるレベルの解像度を持つ画像をWebで使うと、容量が増えすぎてサイトの動きが鈍くなってしまいます。
4.SNSにおける解像度の重要性
各SNSにおいて投稿の画質が悪いのは致命的で、アカウントの信頼性を損ないかねないので注意してください。
それぞれのSNSにおいて、画像の解像度が低くなることで起こりうる問題は以下の通りです。
- Instagram:投稿の視認性が悪くなる、エンゲージメントの低下
- TikTok:動画が荒く見える、視聴者が離脱しやすくなる
- X(旧Twitter):興味関心をひけなくなる、投稿に対する印象が悪くなる
Instagramは、投稿のメイン要素が画像であるため、画質が悪くなると視認性が下がります。
投稿に興味を持ってもらえない、フォロワーが減るといった悪影響が考えられるでしょう。
TikTok
Til Tokも投稿された画質に、閲覧者の「見てみたい」と思う気持ちを喚起できるかどうかがかかっています。
動画を見ていても、画質が悪ければ離脱されやすくなるでしょう。
X(旧Twitter)
X(旧Twitter)は、投稿のメイン要素が文字ですが、添付される画像の画質によって投稿の良し悪しが判断されてしまいます。
投稿に対する印象が悪くなってしまうため、画質の悪い画像は避けるべきです。
5. 再サンプルについて
解像度が低い状態の画像は、画質が荒いままなのかといえばそうではありません。
写真の解像度を変更する再サンプルをおこなえば、画質が調整可能です。
再サンプルとはピクセル数を変更する作業で、画像サイズを小さくして解像度を上げたり、画像サイズを固定したままピクセル数を増やすといった作業ができます。
Photoshopを使った解像度の上げ方
画像は、なんでもかんでも解像度を上げるべきではありません。
利用用途に応じた解像度に設定すべきであり、ECサイトやSNSではサイトの信頼性にも直結するため非常に重要です。
既に撮影済みの素材についてもそうした処理が可能かと不安がよぎりますが、Photoshopでは画像解像度の変更や高精細化が比較的簡単な操作でできます。
ここでは、Photoshopを使った解像度の上げ方について、主な3つの方法を見ていきましょう。
1. Photoshop 背景レイヤーを選択し、Ctrl+Jでレイヤーを複製
上部メニューバーの「画像」→「画像解像度」をクリック
2. 幅と高さを大きく調整
「再サンプル」をチェック →「ディテールを保持」またはバイキュービック(より滑らかに)を選択
縦横比を固定にチェック
3. 上部メニューバーの「フィルター」→「その他」→「ハイパス」をクリック
4. レイヤーの描画モードを「オーバーレイ」に変更
上部メニューの「フィルター」→「シャープ」→「アンシャープマスク」をクリック、シャープ化ウィンドウで適切なしきい値に調整する
5. 次に「イメージ」→「色調補正」→「明るさ・コントラスト」をクリック
明るさとコントラストを適切な位置に調整し、最後に「OK」をクリックすると画像がシャープになります
解像度アップ時の注意点(画質劣化・保存形式・印刷要件など)
画像の解像度を上げる際は、以下のようなポイントに注意しましょう。
- 画質劣化と限界
- 適正な解像度を知る
- ファイル形式と画質保持
- 印刷データの確認
画像の解像度は、上げれば上げただけ画像が綺麗になるわけではありません。
なぜなら、印刷物にしてもWeb用の素材にしても、必要とされる画像の解像度は決まっているからです。
たとえば、印刷物であれば350dpiが確保されていれば綺麗な画像になります。
美しく仕上げたいからといってdpiを上げすぎても、画像が飛躍的に綺麗に仕上がるわけではないので注意しましょう。
また、画像は用途次第で最適なファイル形式も異なります。
JPEG形式は、画像データをそのまま使うなら問題ありませんが、編集や加工などで複数回手を加えた場合は画像が荒くなりやすいです。
PNG形式は、利用目的をインターネット上の使用とする形式になります。
JPEG形式よりもPNG形式の方がファイルの容量は大きいです。
GIF形式は、アニメーションに使える、透明が使えるといった特徴のあるファイル形式になります。
シンプルな画像であれば、ファイルのサイズをコンパクトにできますが、使える色の数が少ないためイラストやカラフルな写真には不向きです。
TIFF形式は、画像データを圧縮しない無圧縮のファイル形式になります。
JPEGよりも高画質を維持しやすい反面、ファイルサイズが大きくなりすぎるのが難点です。
Photoshop以外のおすすめAI画像高画質化ツール紹介(Gazoulabなど)
Photoshopは手動・AIの両機能を駆使して解像度を上げられますが、より細かい補正が必要になると、結局は自分の手で緻密な作業を行って調整する必要があるでしょう。
また、Photoshopを使い続けるには有料契約が必須です。
最近では、Photoshopを持っていなくてもオンラインで画像を高画質化できるAIツールが多数登場しています。
これらは画像をアップロードするだけでAIが自動で最適な補完を行ってくれる手軽さが魅力です。
ここでは特におすすめのツールをいくつか紹介します。
- Gazoulab(ガゾウラボ)
- Waifu2x(ワイフツーエックス)
- kakudaiAC(カクダイAC)
- Topaz Labs Gigapixel AI
上記の他にも、オンライン編集ツール「MyEdit」の画像高画質化機能や、AI画像処理サービス「Vance AI」「AVC Labs Photo Enhancer」など国内外で多種多様なサービスが提供されています。無料で使える範囲があるものも多いので、Photoshopを持っていない方や試しに色々比べてみたい方は、ぜひ活用してみてください。
Gazoulab(ガゾウラボ)
機能紹介
Gazoulabは、AIによって画像や背景の処理ができるWebサービスです。
顔診断や画像生成、写真のリタッチなどといった機能もあり、個人利用はもちろんビジネスシーンでも活躍するでしょう。
使い方
ステップ1:
画像をアップロードします
ステップ2:
拡大倍率が選べます
アップロードした画像は、拡大倍率が選べるので好みの倍率に変更します。
Gazoulabの場合、2、4、6、8倍に拡大可能です。
ステップ3:
ダウンロードする
解像度を上げた画像をチェック後、ダウンロードボタンを押して画像を保存します。
Waifu2x(ワイフツーエックス)
機能紹介
Waifu2xは、非常にシンプルなUIで構成されており、動画や画像を、拡大・高画質化・ノイズ除去ができるWebサービスです。
使い方
ステップ1:
画像ファイルを選択する
画面上部にある「ファイルを選択」をクリックして、画像データをアップロードします。
ステップ2:
希望のスタイルや拡大サイズをいれれば簡単に画像の解像度があげられます
スタイルは、読み込んだファイルがイラストの場合はイラスト・イラスト/スキャンを選択し、写真の場合は写真を選択してください。
ノイズ除去は、低、中、高、最高の4段階から選択でき、拡大も1.6、2、4倍から選べます。
画像形式は、PNGのほかにWebP (ウェッピー)が選べます。
WebPとは、ウェブ向けの画像フォーマットです。
JPEG や PNGといった従来形式のファイルよりも圧縮率が高く、ファイルサイズを小さくできます。
ステップ3:
画像を保存します
画像の上で右クリック、「名前をつけて画像を保存」で画像が保存できます。
kakudaiAC(カクダイAC)
機能紹介
kakudaiAC(カクダイAC)は、シンプルに画像をアップロードするだけで画像を拡大できるWebサービスです。
使い方
ステップ1:
サイトにある画像アップロード場所にて画像を取り込みます
ステップ2:
拡大サイズを選べます
画像をアップロードすると拡大サイズ、ノイズ除去、シャープの3項目が選択可能です。
拡大サイズは2、4、8、16倍から選べます。
ノイズ除去を押すと、画像に入ってしまったノイズを除去できる機能です。
シャープは、画像を全体的に見た時に、鮮明さにかける、ぼやけている場合に使えば、元画像よりもクリアな写真に仕上がるでしょう。
好みの画質に調整したら、「拡大する」ボタンを押します。
ステップ3:
画像をダウンロードします
編集した画像の下に「ダウンロード」ボタンが出てくるので、そこから画像が保存できます。
Topaz Labs Gigapixel AI
機能紹介
Topaz Labs Gigapixel AIは、あらゆる画像を16倍ピクセルに拡大できるソフトです。
再定義(画像の中身を変える)や復元ができます。
使い方
ステップ1 画像をアップロードします。
ステップ1:
画像をアップロードします
ステップ2:
高級感の1倍、2倍、4倍を選択、最後に「与える」ボタンを押下します
ステップ3:
画像を保存する
解像度を上げた後の画像(左に オリジナルとあるのは仕様上消せないため)結果のみの画像です。
解像度を上げた画像をトリミングしています。
ビフォーアフターの比較ができる画像が生成されます。
画像を保存する際は、生成画像の右端にあるボタンを押下すれば保存可能です。
PhotoshopとAI高画質化ツールの比較(操作性・品質・価格・スピード)
Photoshopによる解像度アップと、上記のようなAIツールによる高画質化、それぞれにメリット・デメリットがあります。
- 操作性(使いやすさ)
- 仕上がりの品質
- 価格(コスト)
- 処理速度
上記のような観点で両者を比較してみましょう。
Photoshop | AI高画質化ツール | |
操作性(使いやすさ) | ×(使いづらい) | 〇(使いやすい) |
仕上がりの品質 | △(操作主による) | 〇(均一) |
価格(コスト) | ×(有料) | 〇(無料のものがある) |
処理速度 | ー(処理内容による) | ー(処理内容による) |
結論、Photoshopは細かい作業ができる反面、ある程度の知識と技術がなければ思うように画像編集ができません。
一方、AI解像度アップツールは、AIが自動で解像度を上げるため専門的な知識は不要です。
価格についてもPhotoshopはすべての機能を使うなら有料版を登録しなければならないため、無料で十分使えるAI解像度アップツールに軍配が上がるでしょう。
処理速度については画像や処理内容次第となるため、一概に比較できません。
よくある質問(FAQ)
ここでは、解像度を上げる作業について寄せられる、よくある質問について解説します。
なぜ解像度を上げる必要があるのでしょうか?
必要に応じて画像の解像度を上げる必要があるのは、画質を高めるためです。
たとえば、解像度が低いままだと以下のような問題が起こります。
- 画像のジャギー(ギザギザ)が発生する
- モアレパターンが発生する
- 色合いが不正確になる
- 画像が荒く劣化してしまう
これらの現象が起きた画像は、シンプルに見た目が美しくありません。
Webサイトの素材や印刷物にこうした解像度の低い画像を使ってしまうと、サイトの信頼性が損なわれたり、画像が不鮮明になってしまいます。
解像度を上げれば何が起こりますか?
解像度を上げればピクセルの数が増えるため、画像はより鮮明になります。
細かい部分まではっきり補完されるため、画像が滑らかに美しく仕上がるでしょう。
解像度を上げる方法はスマホとパソコンで違いますか?
解像度を上げる方法は、Photoshopを使う方法以外にAI高画質化ツールを使う方法があります。
解像度を上げる方法はどのツールを使うかで異なるため、スマホとパソコンのどちらで作業を行うかには左右されません。
つまり、Photoshopはモバイル版とパソコン版が存在するため、どちらのデバイスを使っても解像度が上げられます。
AI高画質化ツールについては、Webサービスで提供されているものならスマホでもパソコンでも同じ方法で解像度を上げられるでしょう。
ただし、編集後の画像をどう使うかによって便利な保存先も変わるため、画像の編集はそうした画像の利用用途を見越して考えておくのがおすすめです。
まとめ:最適な方法を選び、画像を効果的に高精細化しよう
画像の解像度を上げるには、Photoshopや無料のAI高画質化ツールといった方法があります。
Photoshopならより緻密な画像の編集が可能ですが、反面、再サンプルを設定し直すなど、専門知識と細かい作業も求められるのが難点です。
その点、AI高画質化ツールは、ほとんどが画像をアップロードするだけで操作が完了します。
画像編集の特別な知識を持っていなくとも作業が完結できるため、誰でも簡単に最適な解像度の画像が作れるでしょう。
GazoulabやWaifu2x(ワイフツーエックス)、kakudaiAC(カクダイAC)といった無料サービスは、登録不要で簡単に画像の解像度が上げられるAI高画質化ツールです。
複雑な操作よりも手軽に作業できるかを重視するなら、Photoshopの代替案としてぜひ検討してください。